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Midnight waltz Cafe 

Red Moon -第1幕-

Midnight Waltz Re:ACT
                       不知火 楓    
                             
Special Edit

-Red Moon-

                                                     
-PROLOGUE-
              
                
2月14日、バレンタインデーになったばかりの真夜中、街外れの古い洋館が炎上した。それは2人の怪盗にとっては、すべての終わりのはずだった。  
しかし、その2人が知らない事実があった・・・。       
                              
 誰もいなくなったはずの洋館にその者はいた。先客がいなくなったのを確認してやって来たようだ。その者は『ナニカ』を探していた。                      
「・・・これが、私の探していた2つの水晶ですね。これで水晶はあと1つ。幻と伝えられている第3の水晶・・いや、魔の水晶が・・・・・」          
                              
                              
  その言葉を最後に、炎に包まれた洋館は沈黙を取り戻した。       
                              
                              
                              
―そして再び、水晶を巡る争いが始まっていく・・・
       


          
             

第1幕   南の島からの招待状
                           
   
―7月も終わりとなり、夏休みの季節となってきた。      
                              
「暑いなあ、本当に・・」                                      
滝河涼は、ジュース片手につぶやいた。          
  (あれからもう半年も立つのか、早いもんだ・・それにしても最近は本当に暇だな。)                 
滝河涼は今年の4月から高校3年生となった。普通の高3ならば、夏休みは勉強することで忙しいはずなのだが・・・ もちろん涼は、勉強をする気が無いのでまったくしていない。  
  しかし、そういう意味で暇と思ったわけではなかった。知る人ぞ知る(?)滝河涼の深夜の姿(涼にとって一番やる気がある時とも言うが・・)、世間を一時期騒がせたこともある「怪盗チェリー」のことであった。そう、涼は怪盗チェリーでもあるのだった。 
                              
そんなことを考えながら家に帰ってきた涼は、ポストの中に入っていた封筒に気がついた。それは、おじからの手紙だった。
                              
 「涼へ、どうせお前の事だから勉強しないで遊んでおるんだろう。
そこでだ、暇ならわしのところへ来ないか?こっちは少し暑いが、
海は綺麗だし気持ちいいぞ。こっちへの船のチケットも同封しと
いたから、考えといてくれ。」                   
                              
「おじさんのところか・・確か南の方にある「極楽島」だったっけ。ひさしぶりに行ってみるかな。」            

                              
      ―これが、今度の舞踏会の幕開けとなるのだった・・
                              
                              
「・・・・というわけなんだ、雪絵。」           
  涼は、おじからの手紙について幼なじみであり、恋人でもある高瀬雪絵に説明した。                  「それで、その極楽島に行くの?」
「ああ、行くつもりだけど・・」
「わたしは?」                     
「えっ!」                       
「私も行けるの?」                   
「えっと・・それは・・」                
「私は行けないの?」                  
「じつは、同封されていた船のチケットは一枚しかないんだ。」
「ということは・・」                  
「・・・俺一人しか行けないんだ。」           
「えぇー、涼ひとりだけずるい。」           
「そういわれてもなあ・・」                
「一人分しかなくても、涼が私の分を出してくれればいいじゃない。そうすれば二人で行けるでしょ。」         
「無茶だよ、そんなこと・・おじさんのところに行くのに‐ゆきっちゃん‐が、何人とんで行くと思うんだよ!」    
「・・知らない。」                   
冷静に答えた雪絵に、涼は少しこけてしまったが、気を取り直して続けた。                      
「・・まあ知らないだろうな。行ったことないはずだしなあ。でも、俺の小遣いで連れて行けるところじゃないしな・・・・  と、いうわけでだめ。」                   
「そういうわけだったら仕方ないか・・でも、どこに行くのか詳しく教えてね。」                     
「ああ、分かったよ。」                        

それから涼は、極楽島への行き方を含めおじの家(正しくは家プラスリゾートホテルなのだが)の場所等詳しく説明するはめになった。説明途中に涼が「何でこんなこと聞くんだ。」と尋ねると、雪絵は「別にいいじゃない。涼がどんな所に行くか知りたいだけなんだから。」と答えるだけだった。           

涼と雪絵がそんな会話をしていたほぼ同時刻、二人のいる場所から遠く離れたところでは・・ある女と男がバーで会話をしていた。                         
(・・ありがとう、いつも情報を仕入れてきてもらって。) 
(別に気にすることはないですよ。貴女のお父さんには本当にお世話になっていたのですから。)
(もういないのだから気にする事はないわ、あの人のことなんて・・)
女は言いながら悲しそうな目をした。それを見て男がどう思ったかは定かではないが・・
ちなみに、二人の会話は日本語ではない。どうやら英語のようだ。                          
(確かに気にするかどうかは、あなたの自由だと思います。でも、僕との約束だけは、気にしてくださいよ。)         
そう言って、男は去っていった。             
残った女は、集めてもらった資料に目を通す。       
  「!! どうやら私の仕事はまだ残っていたみたいね。怪盗チェリーさん。」                 
その言葉を言ってすぐにその女・・‐マリー=ローズ‐の名を持つ怪盗でもある・・神尾真理は出発の準備のためホテルへ急いで戻った。                     

―RED MOON in the island of Heaven・・RED MOON is magic crystal・・・                 
                                                           
―こうして、舞踏会の出演者は集まっていく・・・
                 
  -八月二日。涼は極楽島へと行くため高崎港に来た。見送りに来た雪絵もいる。               
  「それじゃあ行ってくるぜ、雪絵。」           
  「いってらっしゃい・・かな。」             
  「かなって、どういう意味だよ。」            
  「・・別に。」                     
  涼から見て雪絵は少し不機嫌に見える。          
  (機嫌が悪いのは仕方ないか・・)そんなことを考えながら涼は、船に乗り込んだ。        
  この時、涼は不注意のため、3つの点について見逃したのだった・・                         

―そして船は、極楽島へ・・・


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